2012年12月12日水曜日

セミナー構想


先日、2日連続でセミナーを実施いたしました。
終始盛況で参加された方に対して、心より御礼申し上げます。

さてセミナーの今後について、どうするかということを考えています。
これまでは、トータル的な情報提供が多く、広く浅くという感じでした。
今後は、基礎技術も必要かなとも思っています。狭く深く。
例えば、加速度とは、とか演習問題などもつけながら。。。
2013年2月頃を目処にまとめていきたいと思います。

もし、本ブログを読まれている方で、このような情報が欲しいということがあれば、コメント頂けると大変嬉しいです。

川口





2012年10月30日火曜日

輸送包装研究機関紹介シリーズ(1)


思いつきで恐縮ですが、今後不定期に輸送包装を対象にした研究機関を紹介していきたいと思います。

栄えある第一回目は、神戸大学大学院海事科学研究科 輸送包装研究室です。
輸送包装研究室HPリンク

いかにして根拠性のある緩衝包装設計を効率的に実現するか、ということは包装技術者としての大きな課題の一つと言えるでしょう。
当研究室では、大学研究機関として唯一、輸送包装をターゲットとして、新しい試験方法の確立、効率的な計測データ活用方法などの研究が行われています。

一度、HPを見てください。
本HP内の「輸送包装入門(学習用コンテンツ)」がお勧めです。
落下事象の力学的背景がわかり易く表現されており、勉強になると思います。

川口

2012年10月29日月曜日

適正包装の基礎知識(2)

前回、輸送包装における適正包装実現のためには、以下の情報が必要ということを述べました。

・流通過程の外力把握
・物品の価値・状態の数値化
・緩衝材特性
・包装仕様の最終評価

ここでは、具体的にそれらパラメータがどのような関係性があるかを見ていきます。

まず、流通過程の外力把握ということですが、これらを把握する目的は、包装評価試験基準の適正化(言い換えると、物流実態の再現)をすることにあります。

たとえば、包装貨物落下試験で、JIS-Z-0200包装貨物評価試験通則では、落下高さ80cm、1角3稜6面(質量10kg以下、Level1の場合)と規定されています。しかし、この試験基準が実際の物流環境に沿った試験条件か、となると、疑問を持つ人も少なくないのでは?

そこで、実際の物流環境ハザードを取得し、それらを基にして、試験基準を決めましょうということが、ここで言いたいことです。

これまで80cmで試験していた場合、実測データからは60cmで充分、と判断された場合には、その20cm分で包装をさらに合理化(緩衝材コストダウンなど)することが期待できます。

このとき、利用される計測器が輸送環境記録計と呼ばれるものです。これは3軸加速度センサ、温湿度センサが内蔵されたデータレコーダーで、物流中に発生する振動や衝撃、温湿度の変化を捉えることが出来ます。
ここで得られたデータを加工し、包装貨物試験基準(落下高さ、PSD)を設定することになります。

上記、「言うは易し」なのですが、少しでも上記に関する情報を提供していきたいと考え、セミナーを実施します。
詳細はこちら

次回は、物品の価値・状態の数値化について触れたいと思います。

川口

2012年10月1日月曜日

展示会情報


今度、東京パック展に出展いたします。
今回は「包装設計の適正化」というテーマで展示するように考えています。

期間:2012/10/2-5
場所:東京ビッグサイト東ホール
展示小間番号:6-56
展示会詳細:http://www.tokyo-pack.jp/

このブログを見て、ご来場頂ければ大変嬉しいです。

川口

2012年9月28日金曜日

包装試験などの技術資料紹介サイト


神栄テクノロジーのWebサイトにて、各種試験に関する情報を提供しています。
こちら

主に、これまで日本包装学会や包装研究大会で発表したパワーポイント資料などをUPしています。
閲覧は無料ですが、パスワードとIDが必要になりますので、こちらより、お問い合わせ下さい。

内容は随時更新していきますので、定期的にチェック頂ければ幸甚です。

川口

輸送包装関連セミナーのご紹介


輸送包装関係のセミナーを東京と名古屋で開催します。

東京セミナー概要
 テーマ:輸送環境ハザード計測技術
 日時:2012年12月5日(水)13:00~16:30
 場所:東京都立産業貿易センター 浜松町館 第六会議室
 参加費:無料
 詳細はこちら

名古屋セミナー概要
 テーマ:輸送環境ハザード計測技術
 日時:2012年12月6日(木)13:30~17:00
 場所:愛知県産業労働センター ウインクあいち 1110会議室
 参加費:無料
 詳細はこちら

よろしくお願いします。

川口








2012年8月21日火曜日

関係ない話(1)


包装と全然関係ありませんが、英語を勉強しようと思って、Youtubeを見ていたら下の動画にたどり着きました。
とても内容がよかったので、紹介したいと思います。

2012年8月14日火曜日

適正包装の基礎知識(1)


前回紹介したJIS-Z-0108「包装-用語」によると、"適正包装"とは以下のように定義されています。

「省資源、省エネルギー及び廃棄物処理性を考慮し、合理的でかつ、公正な包装。
 輸送包装では、流通過程での振動、衝撃、圧縮、水、水分、温度、湿度などによって物品の価値、状態の低下をきたさないような流通の実態に対応した包装をいい、消費者包装では、過剰包装・課題包装、ごまかし包装などを是正し、同時に欠陥包装を排除するため、保護性、安全性、単位、表示、容積、包装費などについても適正である包装をいう。」

輸送包装における適正包装とは、
①輸送時の様々な外力から商品の価値を保護する包装
②省資源、省エネルギーで合理的な包装
上記を具備した包装形態ということになります。

それでは、どのようにすれば、輸送包装における「適正包装」が実現できるのでしょうか。
ここでは、その方法について考えていきたいと思います。

まず、適正包装の定義を見ると、「流通の実態に対応した包装」という部分があります。
つまり、流通実態において、どのような外力(振動、衝撃、温度など)が発生しているかを充分に理解しておく必要があると考えられます。

また、同定義には「物品の価値・状態の低下をきたさないような…」ともあます。
このことは、何らかの方法で、物品の価値・状態を定量化しておく必要を示唆しています。
物品の価値・状態の低下を定量化する手法は、多数あると思われますが、機械的観点からみると、物品の破損ということが一つの目安になると考えられます。

さらには、「省資源、省エネルギー及び…」との記述があり、これは包装材料のコストや使用量を、大すぎず、少なすぎず、ちょうどいい具合に使いましょう、ということです。
そのように考えると、緩衝材料そのものが、どのような特性を有しているかということを、予め把握しておく必要がありそうです。

最後に、「公正な包装」とあります。
"公正"について調べると、「公平で偏っていないこと。また、そのさま。」(大辞林)とあります。
"公平"について調べると、「判断や処理がかたよっていないこと。」という意味があり、これはまさしく包装設計の正当性を確認する(問題ないという判断を下す)ということではないでしょうか。
言い換えると、最終設計された包装形態は何らかの方法で妥当性を確認する必要があるということです。

以上より、輸送包装における適正包装を実現するためには、

・流通過程の外力把握
・物品の価値・状態の数値化
・緩衝材特性
・包装仕様の最終評価

以上が必要ということになりそうです。
各項目については、別途解説していきたいと思います。

川口

2012年8月3日金曜日

輸送包装に関するJIS規格(2)


包装関係のJIS規格の続きです。

・JIS-Z-0212「包装貨物及び容器-圧縮試験方法」
 
 包装貨物は倉庫などにおいて、段積みされて長時間保管されます。
 本規格は、これら圧縮ストレスに対しての確認試験です。
 ここでは、包装貨物(内容品なし)と容器(空箱含む)の静圧縮試験の具体的な試験方法が規定されています。
 圧縮試験装置を用いて、一定速度で包装貨物を圧縮させ、圧縮荷重が規定値になるか、途中で包装貨物に破損など認められると試験終了です。
 また、積み重ね荷重試験が付属書に記載されています。これは包装貨物に損傷が発生するまでストレスを与え続ける試験です。

・JIS-Z-0235「包装用緩衝材料-評価試験方法」
・JIS-Z-0234「包装用構造体緩衝材料-評価試験方法」

 上記2つの試験規格は、何れも製品を衝撃から保護するための「緩衝材」の特性データを得るための試験方法です。

 Z-0235は主に一定形状(ブロック)に整形できる緩衝材(EPSなど)の評価試験で、Z-0240は構造体(折込紙系緩衝材、パルプモウルド緩衝材など)の評価試験です。
 Z-0235における試験方法は、一定の高さから錘を自由落下させ、緩衝材に衝突させたときの加速度を計測します。
 Z-0240においては、衝撃試験装置を用いて、JIS-Z-0202の方法Bと同じ考え方で、自由落下と等価な試験を行うことが規定されています。
 
 得られるデータとしては、最大加速度-静的応力線図、最大ひずみ-静的応力線図があり、これらは緩衝包装設計を行う上で、必ず必要になるデータです。
 このデータの見方や活用方法は別の機会にしたいと思います。

・JIS-Z-0119「包装及び製品のための衝撃強さ試験」
 
 緩衝包装設計を行う際、保護されるべき製品がどの程度の衝撃で壊れるのか、ということを把握しておかなければ、適正な緩衝設計は困難です。
 或いは、製品設計段階で、その最脆弱部分を発見し、構造的に強化することは、製品としての信頼性、イメージ向上に繋がります。
 この規格は、製品の衝撃加速度に対する強度を確認するための試験方法が規定されています。
 本試験を行うと、製品の損傷境界曲線(Damage Boundary Curve)が導かれ、包装設計だけでなく、製品改良の指標として活用されます。
 この辺の具体的内容については、また別の機会に。

他にも、以下のような包装試験の規格がありますが、あまり実用されていないことと、私がよく内容を知らないので、省きたいと思います。
JIS-Z-0205 包装貨物-水平衝撃試験方法
JIS-Z-0216 包装貨物-散水試験方法

以上で、輸送包装に関するJIS規格シリーズを終わります。

※輸送包装セミナー情報※
随時、こちらで情報開示しています。

川口

2012年7月27日金曜日

輸送包装に関するJIS規格(1)


今回は、輸送包装に関するJIS規格について、書きます。

1.用語
JIS-Z-0108「包装-用語」
 普段何気なく、輸送包装とか、適正包装とか言葉を使っていますが、話をする中で、それらが何を意味しているかということの共通認識が必要と思います。
JIS-Z-0108「包装-用語」には、いわゆる包装全般に関する用語が定義されています。
例えば、「包装」は以下のように定義されています。

”物品の輸送、保管、取引、使用などに当たって、その価値及び状態を維持するための適切な材料、容器、それらに物品を収納する作業並びにそれらを施す技術又は施した状態”

これによると、包装材料そのもの以外にも、付随する技術や作業なども包装に含まれています。
また英語表記についても対訳がありますので、英文に困った場合は、ここを参照するのも良いかもしれません。

2.包装評価試験
JIS-Z-0200「包装貨物-性能試験方法一般通則」
 包装評価する際、落下試験や振動試験、圧縮試験などがあります。
それぞれの試験のストレスレベルを規定したのが、Z-0200になります。
(落下試験の落下高さ・回数、振動試験の試験加速度・周波数など)
包装試験を行う場合、まずこの規格を見ることがその第一歩です。

JIS-Z-0202「包装貨物-落下試験方法」
 落下試験に関する具体的方法論が書かれています。
どのような試験装置を使えば良いのか、報告書に記載する事項など。
ここでは、落下試験方法として、2つの方法のうちいずれかを選択するようになっていますが、この辺の背景や課題については、別の機会に詳細を書きたいと思います。

JIS-Z-0232「包装貨物-振動試験方法」
 落下試験と同様に、具体的な試験方法が書かれています。
ここでは正弦波掃引試験とランダム試験から選択できるようになっています。
これら試験方法の違いについても、別の機会に詳しく紹介できればと思います。

それ以外にも、関係する試験規格はまだあります。
長くなりそうなので、今回はここまでにしたいと思います。

※輸送包装セミナー情報※
随時、こちらで情報開示しています。

川口

2012年7月9日月曜日

神栄テクノロジー株式会社 計測機器部開発Gの川口と申します。

このブログでは輸送包装技術に関連した情報をざっくばらんに提供していきたいと思います。

早速ですが、当社でセミナー開催情報を提供します。
セミナーテーマ「輸送環境ハザード計測技術」
http://www.yoshida-seiki.co.jp/main_news.html

このセミナーでは、輸送環境で発生する振動や衝撃、温湿度に関して、どのようにデータ測定を行えばいいか、得られたデータをどのように解析すればいいかについて事例を交えながら紹介していく内容で企画しています。

また他のセミナーとは異なる点として、当セミナーでは、参加者同士で議論する場を設けています。(セミナー聴講者参加型意見交換会)
輸送包装分野においては(他の分野もそうかも知れませんが)、各社が抱える課題の一部は共有する点が多いと感じており、各社にて情報交換頂き、願わくは課題解決の糸口を見つけることを目標としています。
是非、積極的に参加頂ければと考えています。

以上、よろしくお願いいたします。

川口