2012年8月21日火曜日

関係ない話(1)


包装と全然関係ありませんが、英語を勉強しようと思って、Youtubeを見ていたら下の動画にたどり着きました。
とても内容がよかったので、紹介したいと思います。

2012年8月14日火曜日

適正包装の基礎知識(1)


前回紹介したJIS-Z-0108「包装-用語」によると、"適正包装"とは以下のように定義されています。

「省資源、省エネルギー及び廃棄物処理性を考慮し、合理的でかつ、公正な包装。
 輸送包装では、流通過程での振動、衝撃、圧縮、水、水分、温度、湿度などによって物品の価値、状態の低下をきたさないような流通の実態に対応した包装をいい、消費者包装では、過剰包装・課題包装、ごまかし包装などを是正し、同時に欠陥包装を排除するため、保護性、安全性、単位、表示、容積、包装費などについても適正である包装をいう。」

輸送包装における適正包装とは、
①輸送時の様々な外力から商品の価値を保護する包装
②省資源、省エネルギーで合理的な包装
上記を具備した包装形態ということになります。

それでは、どのようにすれば、輸送包装における「適正包装」が実現できるのでしょうか。
ここでは、その方法について考えていきたいと思います。

まず、適正包装の定義を見ると、「流通の実態に対応した包装」という部分があります。
つまり、流通実態において、どのような外力(振動、衝撃、温度など)が発生しているかを充分に理解しておく必要があると考えられます。

また、同定義には「物品の価値・状態の低下をきたさないような…」ともあます。
このことは、何らかの方法で、物品の価値・状態を定量化しておく必要を示唆しています。
物品の価値・状態の低下を定量化する手法は、多数あると思われますが、機械的観点からみると、物品の破損ということが一つの目安になると考えられます。

さらには、「省資源、省エネルギー及び…」との記述があり、これは包装材料のコストや使用量を、大すぎず、少なすぎず、ちょうどいい具合に使いましょう、ということです。
そのように考えると、緩衝材料そのものが、どのような特性を有しているかということを、予め把握しておく必要がありそうです。

最後に、「公正な包装」とあります。
"公正"について調べると、「公平で偏っていないこと。また、そのさま。」(大辞林)とあります。
"公平"について調べると、「判断や処理がかたよっていないこと。」という意味があり、これはまさしく包装設計の正当性を確認する(問題ないという判断を下す)ということではないでしょうか。
言い換えると、最終設計された包装形態は何らかの方法で妥当性を確認する必要があるということです。

以上より、輸送包装における適正包装を実現するためには、

・流通過程の外力把握
・物品の価値・状態の数値化
・緩衝材特性
・包装仕様の最終評価

以上が必要ということになりそうです。
各項目については、別途解説していきたいと思います。

川口

2012年8月3日金曜日

輸送包装に関するJIS規格(2)


包装関係のJIS規格の続きです。

・JIS-Z-0212「包装貨物及び容器-圧縮試験方法」
 
 包装貨物は倉庫などにおいて、段積みされて長時間保管されます。
 本規格は、これら圧縮ストレスに対しての確認試験です。
 ここでは、包装貨物(内容品なし)と容器(空箱含む)の静圧縮試験の具体的な試験方法が規定されています。
 圧縮試験装置を用いて、一定速度で包装貨物を圧縮させ、圧縮荷重が規定値になるか、途中で包装貨物に破損など認められると試験終了です。
 また、積み重ね荷重試験が付属書に記載されています。これは包装貨物に損傷が発生するまでストレスを与え続ける試験です。

・JIS-Z-0235「包装用緩衝材料-評価試験方法」
・JIS-Z-0234「包装用構造体緩衝材料-評価試験方法」

 上記2つの試験規格は、何れも製品を衝撃から保護するための「緩衝材」の特性データを得るための試験方法です。

 Z-0235は主に一定形状(ブロック)に整形できる緩衝材(EPSなど)の評価試験で、Z-0240は構造体(折込紙系緩衝材、パルプモウルド緩衝材など)の評価試験です。
 Z-0235における試験方法は、一定の高さから錘を自由落下させ、緩衝材に衝突させたときの加速度を計測します。
 Z-0240においては、衝撃試験装置を用いて、JIS-Z-0202の方法Bと同じ考え方で、自由落下と等価な試験を行うことが規定されています。
 
 得られるデータとしては、最大加速度-静的応力線図、最大ひずみ-静的応力線図があり、これらは緩衝包装設計を行う上で、必ず必要になるデータです。
 このデータの見方や活用方法は別の機会にしたいと思います。

・JIS-Z-0119「包装及び製品のための衝撃強さ試験」
 
 緩衝包装設計を行う際、保護されるべき製品がどの程度の衝撃で壊れるのか、ということを把握しておかなければ、適正な緩衝設計は困難です。
 或いは、製品設計段階で、その最脆弱部分を発見し、構造的に強化することは、製品としての信頼性、イメージ向上に繋がります。
 この規格は、製品の衝撃加速度に対する強度を確認するための試験方法が規定されています。
 本試験を行うと、製品の損傷境界曲線(Damage Boundary Curve)が導かれ、包装設計だけでなく、製品改良の指標として活用されます。
 この辺の具体的内容については、また別の機会に。

他にも、以下のような包装試験の規格がありますが、あまり実用されていないことと、私がよく内容を知らないので、省きたいと思います。
JIS-Z-0205 包装貨物-水平衝撃試験方法
JIS-Z-0216 包装貨物-散水試験方法

以上で、輸送包装に関するJIS規格シリーズを終わります。

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川口