2012年8月14日火曜日

適正包装の基礎知識(1)


前回紹介したJIS-Z-0108「包装-用語」によると、"適正包装"とは以下のように定義されています。

「省資源、省エネルギー及び廃棄物処理性を考慮し、合理的でかつ、公正な包装。
 輸送包装では、流通過程での振動、衝撃、圧縮、水、水分、温度、湿度などによって物品の価値、状態の低下をきたさないような流通の実態に対応した包装をいい、消費者包装では、過剰包装・課題包装、ごまかし包装などを是正し、同時に欠陥包装を排除するため、保護性、安全性、単位、表示、容積、包装費などについても適正である包装をいう。」

輸送包装における適正包装とは、
①輸送時の様々な外力から商品の価値を保護する包装
②省資源、省エネルギーで合理的な包装
上記を具備した包装形態ということになります。

それでは、どのようにすれば、輸送包装における「適正包装」が実現できるのでしょうか。
ここでは、その方法について考えていきたいと思います。

まず、適正包装の定義を見ると、「流通の実態に対応した包装」という部分があります。
つまり、流通実態において、どのような外力(振動、衝撃、温度など)が発生しているかを充分に理解しておく必要があると考えられます。

また、同定義には「物品の価値・状態の低下をきたさないような…」ともあます。
このことは、何らかの方法で、物品の価値・状態を定量化しておく必要を示唆しています。
物品の価値・状態の低下を定量化する手法は、多数あると思われますが、機械的観点からみると、物品の破損ということが一つの目安になると考えられます。

さらには、「省資源、省エネルギー及び…」との記述があり、これは包装材料のコストや使用量を、大すぎず、少なすぎず、ちょうどいい具合に使いましょう、ということです。
そのように考えると、緩衝材料そのものが、どのような特性を有しているかということを、予め把握しておく必要がありそうです。

最後に、「公正な包装」とあります。
"公正"について調べると、「公平で偏っていないこと。また、そのさま。」(大辞林)とあります。
"公平"について調べると、「判断や処理がかたよっていないこと。」という意味があり、これはまさしく包装設計の正当性を確認する(問題ないという判断を下す)ということではないでしょうか。
言い換えると、最終設計された包装形態は何らかの方法で妥当性を確認する必要があるということです。

以上より、輸送包装における適正包装を実現するためには、

・流通過程の外力把握
・物品の価値・状態の数値化
・緩衝材特性
・包装仕様の最終評価

以上が必要ということになりそうです。
各項目については、別途解説していきたいと思います。

川口

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