2012年8月3日金曜日

輸送包装に関するJIS規格(2)


包装関係のJIS規格の続きです。

・JIS-Z-0212「包装貨物及び容器-圧縮試験方法」
 
 包装貨物は倉庫などにおいて、段積みされて長時間保管されます。
 本規格は、これら圧縮ストレスに対しての確認試験です。
 ここでは、包装貨物(内容品なし)と容器(空箱含む)の静圧縮試験の具体的な試験方法が規定されています。
 圧縮試験装置を用いて、一定速度で包装貨物を圧縮させ、圧縮荷重が規定値になるか、途中で包装貨物に破損など認められると試験終了です。
 また、積み重ね荷重試験が付属書に記載されています。これは包装貨物に損傷が発生するまでストレスを与え続ける試験です。

・JIS-Z-0235「包装用緩衝材料-評価試験方法」
・JIS-Z-0234「包装用構造体緩衝材料-評価試験方法」

 上記2つの試験規格は、何れも製品を衝撃から保護するための「緩衝材」の特性データを得るための試験方法です。

 Z-0235は主に一定形状(ブロック)に整形できる緩衝材(EPSなど)の評価試験で、Z-0240は構造体(折込紙系緩衝材、パルプモウルド緩衝材など)の評価試験です。
 Z-0235における試験方法は、一定の高さから錘を自由落下させ、緩衝材に衝突させたときの加速度を計測します。
 Z-0240においては、衝撃試験装置を用いて、JIS-Z-0202の方法Bと同じ考え方で、自由落下と等価な試験を行うことが規定されています。
 
 得られるデータとしては、最大加速度-静的応力線図、最大ひずみ-静的応力線図があり、これらは緩衝包装設計を行う上で、必ず必要になるデータです。
 このデータの見方や活用方法は別の機会にしたいと思います。

・JIS-Z-0119「包装及び製品のための衝撃強さ試験」
 
 緩衝包装設計を行う際、保護されるべき製品がどの程度の衝撃で壊れるのか、ということを把握しておかなければ、適正な緩衝設計は困難です。
 或いは、製品設計段階で、その最脆弱部分を発見し、構造的に強化することは、製品としての信頼性、イメージ向上に繋がります。
 この規格は、製品の衝撃加速度に対する強度を確認するための試験方法が規定されています。
 本試験を行うと、製品の損傷境界曲線(Damage Boundary Curve)が導かれ、包装設計だけでなく、製品改良の指標として活用されます。
 この辺の具体的内容については、また別の機会に。

他にも、以下のような包装試験の規格がありますが、あまり実用されていないことと、私がよく内容を知らないので、省きたいと思います。
JIS-Z-0205 包装貨物-水平衝撃試験方法
JIS-Z-0216 包装貨物-散水試験方法

以上で、輸送包装に関するJIS規格シリーズを終わります。

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川口

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